珍念はどう思う




 観音像は、見違えるように綺麗になった。祭壇も、埃を払い雑巾をかけて、蠟燭に火を灯し線香に火を付けると、ようやく寺らしくなった。
 その頃には、墓穴堀の若者も到着して、墓地では穴を掘る音がしていた。

   「お坊様、墓穴が掘れましてございます」
   「さようか、畑仕事で忙しいであろうにご苦労でした、間もなくご遺体が到着するであろう、そなた達も葬儀に参列してやってくれ」
   「はい、ではそれまで一服させて頂きます」
   「お茶など入れて進ぜようと思ってお湯を沸かしたが、寺には茶葉がないのじゃ、白湯などいかがかな?」
   「はい、喉が渇きましたので、白湯を頂戴します」

 やがて、村長(むらおさ)と何人かの村人と共に、ご遺体が担ぎ込まれて葬儀が始まった。宗悦は、幾宗派かの経が読めるのだが、どれもこれも中途半端でいい加減に誤魔化している。それでも村人たちは気付かず、宗悦に感謝していた。
   「お坊様、立派に葬儀を執り行って頂き、有難うございます」
村長が代表して、宗悦に礼を言った。
   「これはご丁寧なご挨拶、恐れ入ります」
   「ご無理とは存じますが、このようにご立派な和尚様がここのご住職で居てくだされば、私ども村人は安心して仕事に励むことが出来ます」
   「いやいや、拙僧はまだまだ精進が足りない若輩僧でございます」

 旅の途中で足止めをされて、おまけに自腹で葬儀を上げてくれた宗悦を、村人たちは、法然上人の再来かとばかりに思った。宗悦が若き法然ならば、珍念は親鸞聖人の少年時代であろうか。

 村長が、村人を集めて何やら相談をしていたが、やおら宗悦を取り囲み、皆で頭を下げた。
   「御坊様、どうかこの寺Pretty renew 傳銷にお留まりになってください」
 宗悦の頭の中にまるで無かった訳ではないが、実際に頼まれてみると考えてしまう。こんな貧乏の村では、商売が成り立たない。檀家の数は僅かで、奉納金どころかお布施も貰えない。珍念と旅にあれば、大金が転がり込んでくることもあるのだ。
 
   「人を騙すよりも、人に頼られる方がいいと思います」
   「そう思うか、珍念は善人香港短期服務式住宅であるのう」
   「和尚様も、根は善人だと思います」
   「こいつ、心にもないことを…」
 珍念は、もし此処に落ち着くことが出来たら、父の遺骨を改葬してここに正式の墓をつくり、生涯弔っていきたいと思うのであった。

   「和尚様、珍念は浄土宗の僧侶になりとうございます」
   「何、本物のか?」
   「大本山の道場で、修行を積んで来とう御座います」
   「止せ、止せ、苦労をして僧侶になっても、稼ぎは少ないぞ」
   「金持ちに成りたいのではありません、人の為に尽くしたいのです」
   「ふーん」
   「和尚様、気のない返事卓悅化妝水ですね」
   「尻が擽ったいわ」



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